○懲戒処分の指針
平成20年10月15日
指針
第1 基本事項
本指針は、代表的な事例を選びそれぞれにおける標準的な処分量定を掲げたものである。
具体的な量定の決定に当たっては、
① 非違行為の動機、態様及び結果はどのようなものであったか
② 故意又は過失の度合いはどの程度であったか
③ 非違行為を行った職員の職責はどのようなものであったか、その職責は非違行為との関係でどのように評価すべきか
④ 他の職員及び社会に与える影響はどのようなものであるか
⑤ 過去に非違行為を行っているか
等のほか、適宜、日頃の勤務態度や非違行為後の対応等も含め総合的に考慮のうえ判断するものとする。個別の事案の内容によっては、標準例に掲げる量定以外とすることもあり得るところである。
なお、標準例に掲げられていない非違行為についても、懲戒処分の対象となり得るものであり、これらについては標準例に掲げる取り扱いを参考としつつ判断する。
(1) 処分の加重について
懲戒処分を行う場合において、次のいずれかの事由があるときは、標準例で規定する最も重い懲戒処分よりも重い処分を行うことができることとする。
ア 職員が行った一連の行為が、複数の非違行為に該当するとき
イ 職員が行った行為の態様等が極めて悪質であるとき
ウ 職員が管理又は監督の地位にあるなど、その占める職制の責任の度が特に高いとき
エ 職員が過去に懲戒処分を受けたことがあるとき
(2) 処分の軽減について
懲戒処分を行う場合において、次のいずれかの事由があるときは、標準例で規定する最も軽い懲戒処分よりも軽い処分を行うことができるか又は処分を行わないことができることとする。(処分を軽減する場合においては、標準例で規定する最も軽い懲戒処分が停職の場合は減給、減給の場合は戒告、戒告の場合は文書訓告を原則とする。)
ア 職員の日頃の勤務態度が極めて良好であるとき
イ 職員が自らの行為が発覚する前に自主的に申し出たとき
ウ 職員が行った行為の非違の程度が軽微である等特別な事情があるとき
第2 懲戒処分の種類
地方公務員法第29条の規定に基づき、任命権者が人事通知書により職員の非違行為に対して懲罰として行う次の処分
(1) 免職 勤務関係から排除する処分
(2) 停職 1日以上6月以下の期間、職務に従事させない処分(停職期間中は、いかなる給与も支給されない)
(3) 減給 1日以上6月以下の期間、給料の月額の10分の1以下に相当する額を給与から減ずる処分
(4) 戒告 非違行為に係る責任を確認させ、その将来を戒める処分
第3 標準例
1 一般服務関係
(1) 欠勤
ア 正当な理由なく10日以内の間勤務を欠いた職員は、減給又は戒告とする。
イ 正当な理由なく11日以上20日以内の間勤務を欠いた職員は、停職又は減給とする。
ウ 正当な理由なく21日以上の間勤務を欠いた職員は、免職又は停職とする。
(2) 遅刻・早退
正当な理由なく勤務時間の始め又は終わりに繰り返し勤務を欠いた職員は、戒告とする。
(3) 休暇の虚偽申請
病気休暇、特別休暇、介護休暇、組合休暇又は無給休暇について虚偽の申請をした職員は、減給又は戒告とする。
(4) 勤務態度不良
勤務時間中に職場を離脱して職務を怠り、公務の運営に支障を生じさせた職員は、減給又は戒告とする。
(5) 職場内秩序を乱す行為
ア 他の職員に対する暴行により職場の秩序を乱した職員は、停職又は減給とする。
イ 他の職員に対する暴言により職場の秩序を乱した職員は、減給又は戒告とする。
(6) 虚偽報告
事実をねつ造して虚偽の報告を行った職員は、減給又は戒告とする。
(7) 違法な職員団体活動
ア 地方公務員法第37条第1項前段の規定に違反して同盟罷業、怠業その他の争議行為をし、又は町の機関の活動能率を低下させる怠業的行為をした職員は、減給又は戒告とする。
イ 地方公務員法第37条第1項後段の規定に違反して同項前段に規定する違法な行為を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおった職員は、免職又は停職とする。
(8) 秘密漏えい
ア 職務上知ることのできた秘密を漏らし、公務の運営に重大な支障を生じさせた職員は、免職又は停職とする。この場合において、自己の不正な利益を図る目的で秘密を漏らした職員は、免職とする。
イ 具体的に命令され、又は注意喚起された情報セキュリティ対策を怠ったことにより、職務上の秘密が漏えいし、公務の運営に重大な支障を生じさせた職員は、停職、減給又は戒告とする。
ウ 個人情報保護法の規定に違反してその業務に関して知り得た個人情報をみだりに他人に知らせ、又は不当な目的に使用した職員は、減給又は戒告とする。
(9) 個人の秘密情報の目的外収集
その職権を濫用して、専らその職務の用以外の用に供する目的で個人の秘密に属する事項が記録された文書等を収集した職員は、減給又は戒告とする。
(10) 個人情報の盗難、紛失又は流出
過失により個人情報を盗難され、紛失し、又は流出した職員は、減給又は戒告とする。
(11) 政治的行為の制限違反
ア 地方公務員法第36条第1項又は第2項の規定に違反して政治的行為をした職員は、減給又は戒告とする。
イ 地方公務員法第36条第3項の規定に違反して政治的行為を行うよう職員に求める等の行為をした職員は、停職又は減給とする。
ウ 公職選挙法第136条の2の規定に違反して公務員の地位を利用して選挙運動をした職員は、免職又は停職とする。
(12) 兼業の承認等を得る手続きのけ怠
地方公務員法第38条第1項の規定に違反して営利企業の役員等の職を兼ね、若しくは自ら営利企業を営むことの承認を得る手続き又は報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員等を兼ね、その他事業若しくは事務に従事することの許可を得る手続きを怠り、これらの兼業を行った職員は、減給又は戒告とする。
(13) 官製談合
入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律第2条第5項に規定する「入札談合等関与行為」を行った職員は、免職又は停職とする。
(14) 施設利用者等に対する暴行・傷害
ア 施設利用者等に暴行を加えた職員が、傷害するに至らなかったときは、停職又は減給とする。
イ 施設利用者等の身体を傷害した職員は、免職又は停職とする。
(15) セクシャル・ハラスメント(他の者を不快にさせる職場における性的な言動及び他の職員を不快にさせる職場外における性的な言動)
ア 暴行若しくは脅迫を用いてわいせつな行為をし、又は職場における上司・部下等の関係に基づく影響力を用いることにより強いて性的関係を結び若しくはわいせつな行為をした職員は、免職又は停職とする。
イ 相手の意に反することを認識の上で、わいせつな言辞、性的な内容の電話、性的な内容の手紙・電子メールの送付、身体的接触、つきまとい等の性的な言動(以下「わいせつな言辞等の性的な言動」という。)を繰り返した職員は、停職又は減給とする。この場合において、わいせつな言辞等の性的な言動を執拗に繰り返したことにより相手が強度の心的ストレスの重積による精神疾患に罹患したときは、当該職員は免職又は停職とする。
ウ 相手の意に反することを認識の上で、わいせつな言辞等の性的な言動を行った職員は、減給又は戒告とする。この場合において、わいせつな言辞等の性的な言動を行ったことにより相手が強度の心的ストレスの重積による精神疾患に罹患したときは、当該職員は停職又は減給とする。
(16) パワーハラスメント(職権などを背景にして、本来の業務の範ちゅうを超えて継続的に人格と尊厳を侵害する言動を行い、就業者の働く環境を悪化させ、雇用不安を与える行為)
ア 職権などを背景に、相手の意に反して、就業後の飲食や休日の娯楽等への付き合いの強要、仕事上の過度の能力否定や過度の責任・失敗追及及び性格人格を否定する行為をした職員は、停職又は減給とする。
イ アの場合において、パワーハラスメントを執拗に繰り返したことにより相手が強度の心的ストレスの重責による精神疾患に罹患したときは、当該職員は免職又は停職とする。
(17) 賄賂の収受
賄賂を収受した職員は、免職又は停職とする。
(18) 公務員倫理違反
利害関係者(別表に掲げる者をいう。以下同じ。)から供応接待を受けた職員は、停職、減給又は戒告とする。
ただし、次に掲げる行為等を除く。
(ア) 職務として出席した会議その他の会合において、利害関係者から茶菓の提供を受けること。
(イ) 職務として出席した会議において、利害関係者から簡素な飲食物の提供を受けること。
(ウ) 多数の者が出席する式典、総会その他の催物(これに引き続き行われる飲食を伴うパーティーその他の会合を含む。)において、利害関係者から飲食物の提供を受けること。
(エ) 職員と私的な関係(職員としての身分にかかわらない関係を言う。以下同じ。)がある者であって、利害関係者に該当するものとの間においては、職務上の利害関係の状況、私的な関係の経緯及び現在の状況並びにその行おうとする行為の態様等にかんがみ、公正な職務の執行に対する町民の疑惑や不信を招くおそれがないと認められる場合。
(19) 内部通報に関する不当行為
ア 非違行為の事実を内部機関に通報した職員を詮索し、又はこれに不利益を及ぼし、若しくは及ぼそうとした職員は、停職又は減給とする。
イ 事実をねつ造して非違行為を内部機関に通報した職員は、減給又は戒告とする。
(20) 法令等違反・不適正な事務処理等
職務の遂行に関して法令等に違反し、又は不適正な事務処理等を行うことにより、公務の運営に重大な支障を与え、又は町民等に重大な損害を与えた職員は、停職、減給又は戒告とする。
(21) 公的債権の滞納等
公的債権を滞納し、履行の督促等にもかかわらず滞納し続けた職員は、減給又は戒告とする。この場合において、公的債権の滞納を繰り返した職員は停職又は減給とする。
(22) 破産・民事再生等
無計画な借金等により破産宣告又は民事再生の認可等を受けた場合で、公務に支障を生じさせた職員は、減給又は戒告とする。
2 公金等取扱い関係
(1) 横領
ア 自己の占有する他人の物を横領した職員は、免職又は停職とする。
イ 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した職員は、減給又は戒告とする。
(2) 窃取
公金又は町の財産を窃取した職員は、免職とする。
(3) 詐取
人を欺いて公金又は町の財産を交付させた職員は、免職とする。
(4) 紛失
公金又は町の財産を紛失した職員は、戒告とする。
(5) 盗難
重大な過失により公金又は町の財産の盗難に遭った職員は、戒告とする。
(6) 町の財産の損壊
故意に職場において町の財産を損壊した職員は、減給又は戒告とする。
(7) 失火
過失により職場において官物の出火を引き起こした職員は、戒告とする。
(8) 諸給与の違法支払・不適正受給
故意に法令に違反して諸給与を不正に支給した職員及び故意に届出を怠り、又は虚偽の届出をするなどして諸給与を不正に受給した職員は、減給又は戒告とする。
(9) 公金又は町の財産の処理不適正
自己保管中の公金の流用等公金又は町の財産の不適正な処理をした職員は、減給又は戒告とする。
(10) コンピューターの不適正使用
職場のコンピューターをその職務に関連しない不適切な目的で使用し、公務の運営に支障を生じさせた職員は、減給又は戒告とする。
3 公務外非行関係
(1) 放火
放火をした職員は、免職とする。
(2) 殺人
人を殺した職員は、免職とする。
(3) 傷害
人の身体を傷害した職員は、停職又は減給とする。
(4) 暴行・けんか
暴行を加え、又はけんかをした職員が人を傷害するに至らなかったときは、減給又は戒告とする。
(5) 器物損壊
故意に他人の物を損壊した職員は、減給又は戒告とする。
(6) 横領
ア 自己の占有する他人の物(公金及び町の財産を除く。)を横領した職員は、免職又は停職とする。
イ 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した職員は、減給又は戒告とする。
(7) 窃盗・強盗
ア 他人の財物を窃取した職員は、免職又は停職とする。
イ 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した職員は、免職とする。
(8) 詐欺・恐喝
人を欺いて財物を交付させ、又は人を恐喝して財物を交付させた職員は、免職又は停職とする。
(9) 賭博
ア 賭博をした職員は、減給又は戒告とする。
イ 常習として賭博をした職員は、停職とする。
(10) 麻薬・覚醒剤等の所持又は使用
麻薬・大麻、あへん、覚醒剤、危険ドラッグ等を所持、使用、譲渡等をした職員は免職とする。
(11) 酩酊による粗野な言動等
酩酊して、公共の場所や乗物において、公衆に迷惑をかけるような著しく粗野又は乱暴な言動をした職員は、減給又は戒告とする。
(12) 淫行
18歳未満の者に対して、金品その他財産上の利益を対償として供与し、又は供与することを約束して淫行をした職員は、停職又は減給とする。
(13) わいせつ行為
ア 強姦、不同意わいせつ、公然わいせつ又はわいせつ目的を持って体に触れる等の行為をした職員は、免職、停職又は減給とする。
イ 公共の場所等において痴漢行為若しくは盗撮行為を行い、又は人の住居等をひそかにのぞき見した職員は、停職又は減給とする。
(14) ストーカー行為
ストーカー行為をした職員は、減給又は戒告とする。この場合において、ストーカー規制法に基づく警察による警告を受けたにもかかわらず、なおストーカー行為をした職員は、停職又は減給とする。
(15) 盗撮行為
公共の場所若しくは乗り物において他人の通常衣服で隠されている下着若しくは身体の盗撮行為をし、又は通常衣服の全部若しくは一部を着けない状態となる場所における他人の姿態の盗撮行為をした職員は、停職又は減給とする。
4 交通事故・交通法規違反関係
5 監督責任関係
(1) 指導監督不適正
部下職員が懲戒処分を受ける等した場合で、管理監督者としての指導監督に適正を欠いていた職員は、減給又は戒告とする。
(2) 非行の隠ぺい、黙認
部下職員の非違行為を知得したにもかかわらず、その事実を隠ぺいし、又は黙認した職員は、停職又は減給とする。
別表(第3、1、(18)関係)
利害関係者
利害関係者は、職員が職務として携わる次の各号に掲げる事務の区分に応じ、当該各号に定める者とする。ただし、職員の職務との利害関係が潜在的なものにとどまる者又は職員の裁量の余地が少ない職務に関する者を除く。 | |
(1)許認可等(行政手続法第2条第3号に規定する許認可等をいう。)をする事務 | 当該許認可等を受けて事業を行っている事業者等(法人その他の団体及び事業を行う個人(当該事業の利益のためにする行為を行う場合における個人に限る。)をいう。また、事業者等の利益のためにする行為を行う場合における役員、従業員、代理人その他の者は、事業者等とみなす。以下同じ。)、当該許認可等の申請をしている事業者等又は個人(事業者等とみなされる者を除く。以下「特定個人」という。)及び当該許認可等の申請をしようとしていることが明らかである事業者等又は特定個人 |
(2)補助金等(町が相当の反対給付を受けないで交付する補助金、利子補給金その他の給付金をいう。)を交付する事務 | 当該補助金等(町以外の者が相当の反対給付を受けないで交付する給付金であって、当該補助金等を直接にその財源の全部又は一部とし、かつ、当該補助金等の交付の目的に従って交付するものを含む。)の交付を受けて当該交付の対象となる事務又は事業を行っている事業者等又は特定個人、当該補助金等の交付の申請をしている事業者等又は特定個人及び当該補助金等の交付の申請をしようとしていることが明らかである事業者等又は特定個人 |
(3)立入検査又は監査(法令等の規定に基づき行われるものに限る。以下「検査等」という。)をする事務 | 当該検査等を受ける事業者等又は特定個人 |
(4)不利益処分(行政手続法第2条第4号に規定する不利益処分をいう。)をする事務 | 当該不利益処分をしようとする場合における当該不利益処分の名あて人となるべき事業者等又は特定個人 |
(5)行政指導(行政手続法第2条第6号に規定する行政指導をいう。)をする事務 | 当該行政指導により現に一定の作為又は不作為を求められている事業者等又は特定個人 |
(6)事業の調整等に関する事務(前各号に掲げる事務を除く。) | 当該事業を行っている事業者等 |
(7)契約(売買、貸借、請負その他の契約をいう。)に関する事務 | 当該契約を締結している事業者等、当該契約の申込みをしている事業者等及び当該契約の申込みをしようとしていることが明らかである事業者等 |
(8)入札(一般競争入札及び指名競争入札をいう。)に関する事務 | 入札に参加するために必要な資格を有する事業者等 |